愛隣幼稚園

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愛隣だより☆7月巻頭言☆

6月最終週、300人規模の私立幼稚園園長研修会(九州大会)に参加してきました。講演の一つは「これから求められる幼稚園の環境とは」と題して、設計会社の社長の話を聴きました。今まさに園舎建替の本設計に取りかかっている当園にとって、子どもにとって大切な環境をどう設計(デザイン)するのか、多くの示唆を与えられる内容でした。
もう一つは、文科省による「幼児教育の現状と課題について」。2年前の衆院選前に総理大臣が「幼児教育の無償化も一気に進めます」と記者会見で発表して以来、急ピッチで制度設計がなされ、10月からスタートする「幼児教育の無償化」について詳しい説明がありました。子育てや幼稚園を取り巻く環境が大きく変わろうとしています。保育料負担軽減は保護者にとって嬉しいことです。しかし、そもそも幼児教育無償化の論点は、ノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のヘックマンの研究成果、投資効果論に始まります。1960年代のアメリカで、低所得者層の一部の幼児に質の高い教育を提供し、40年間追跡調査を行った結果、質の高い教育を受けた子どもは将来の所得向上や生活保護受給率の低下につながり、教育の効果は受けた本人だけでなく、社会に対しても大きいことが分かりました。つまり幼児教育が人間の営みにとって重要であるこが認められ、この国をどうデザインしていくのか、そのための経済政策(少子化対策を含む)なのです。「タダなら預けないと損だ」と考えるのは間違いです。子育て放棄につながっては逆効果です。認可外保育施設も対象になるようですが、〝質の高い教育〟が無償化の目的であったはずです。そのために国民の血税である巨額の消費税が投入されることを園としても自覚し、公的な投資を受けるに相応しい保育の質の担保と環境整備を行っていかなければならないと思います。
月主題は「試す」ですが、その意味では園と家庭、それぞれの力が試される時を迎えようとしています。(園長)