愛隣だより☆巻頭言3月☆
2019年3月1日 投稿者:愛隣幼稚園
「ママー現象」をご存じでしょうか。「ママーう~う~」、今年になって何度このメロディーを聴かされたことでしょうか。クイーンの「ボヘミアンラプソディ」を妻から簡易楽譜に書き換えてもらった長男が、弾き歌いをするのです。同映画の興行収入が100億円を超えるほどヒットしていることを知り、長男の執拗な誘いもあって、私も先月長男と映画館に行ってきました(長男は3度目)。最期はHIVの合併症で亡くなったフレディの生き様を描いた作品です。この曲の歌詞は「ママ、たった今人を殺してきた」「ママ、人生は始まったばかりなのに、僕はすべてを捨ててしまった」「あなたを悲しませるつもりはなかった」「僕なんて生まれてこなければよかった」「さよなら、みんな」と続きます。彼自身がゲイかもしれないと悩んでいた時に作られたそうです。「人を殺した」というのは、それまでの自分を捨て、ゲイとして正直に自由に生きることを選択した彼の、自らを殺すほどの苦悩、もしくはこの世の価値観に抗う思いが込められていたのかもしれません。
ところで、この歌詞に嫉妬するのは私だけでしょうか。仕方ないことですが、残念ながら「パパー」とは言ってもらえないのです(私の母は言いますが)。一般的に父親はdoingしても、beingに欠けます。「ママー」を連呼する長男が今春から大学入学のために関西に旅立つことを考えると、寂しさと共に、父親として我が子に十分な愛情を注いできたかが問われ、一緒に過ごせる日々の尊さを実感します。子育てには喜びも苦悩もありますが、一緒にいられる日々を大事にしたいものです。
別れの季節にあたり、愛隣を巣立っていく子どもたちには、今月の聖句にあるように、自分を愛し、生まれてきてよかったと思える人生を歩んでほしいと願っています。また、我が子と共にあり続ける母たちに心からの敬意と、父たちにエールを送ります。(園長)