愛隣幼稚園

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愛隣だより☆2022年10月巻頭言☆

静岡で発生した園バスの事故を受けて、地元テレビ局の取材を受けました。それを見た息子から「お父さん、表情が暗かったね」と一言。幼子の尊い命が奪われるという痛ましい事故が同じ保育施設で起きたわけですから、笑顔でインタビューに応じられるはずなどありません。あってはならないことですが、たとえ園児がバスに取り残されたとしても、その子がクラスにいないことに保育者が気づき、確認していれば防げたことです。人為的なミスが重なった結果としての事故に、日頃から如何に一人ひとりをしっかり把握し見守っているか、ミスをしてもフォローし合える体制が整っているかを問われる思いがしました。

それにしても、あの園バスの車両全体に可愛らしい絵が描かれていたのには驚きました。ガラスにまでラッピングが施されず、車内の様子が外から見えていたらと思ってしまいます。某テーマパークではコロナ禍以来、仮装が解禁になったそうですが、私たち人間は外見ばかりに目が行き、そこに魅力を感じてしまいます。そして中が見えなくなってしまう。幼児教育の問題はその点にあるのではないかと思わされます。親を安心させ喜ばせる画一的で見える教育・保育が主流になりがちです。そこにおいては、一人ひとりの個性や賜物が軽んじられ、外見上立派に見えても、内面が育っていないということが起こりうるのです。月主題は100年の時を経た金子みすゞの代表作、『私と小鳥と鈴と』からです。「私が両手を広げても、お空はちっとも飛べないが、飛べる小鳥は私のように、地面を速くは走れない。私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、あの鳴る鈴は私のように、たくさんな唄は知らないよ。鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい」。個が真実に愛され、尊重される時、「その人は豊かに実を結ぶ」(今月の聖句)ことでしょう。(園長)