愛隣幼稚園

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愛隣だより☆2023年2月巻頭言☆

十年に一度クラスの寒波が人々の生活に影響を及ぼしました。園でも給湯器の一つが破損し、修理を余儀なくされたところです。そんな中、子どもたちはと言うと、雪が舞い始めると部屋から出て来て目を輝かせてその光景を見つめたり、園庭の水たまりに張った氷上をスケートしたり、素手で土ごと氷を剥ぎ取ったり、嬉しそうに遊んでいる姿がみられました。私たち大人は寒さで外に出るのも氷を触るのも嫌なものですが、マイナスと思える状況を楽しむ子どもたちの姿には驚かされます。

今年のはじめ、ピンチヒッターで園バスの運転をした時のことです。朝は道路が渋滞しやすく、バスの遅延で園児と保護者を寒い中でお待たせするわけにはいかないという焦りと緊張感で運転します。無事に園に到着し、園児をバスから降ろし、通用門に誘導している時、一人の園児が通りすがりに「園長先生、耳ちょうだい」と言うのです。私はとっさに耳がかじられると思い、「えー、嫌だ!」と言うと、再び同じことを言うものですから、恐る恐るその子の口元に耳を近づけると、囁くような声で「お疲れさま」との言葉が響きました。よほど強ばった顔で運転していたのが見抜かれていたのでしょう。園児からあたたかな言葉をかけられたことにより、無意識のうちに氷のように無表情になっていた顔が解けゆくのが自分でも分かり、そのことに気づかされた恥ずかしさと同時に、あたたかい家庭で育てられているのだなと嬉しくなりました。今主題は「響きあって」です。親子関係や人間関係が一方的なもの、冷え切ったものになっていないでしょうか。心を通わせ合う中で、暦の上だけではない春を迎えたいものです。(園長)